Q1:そもそも「未病」ってどういう意味?
健康と病気は、明確に区別できるものではありません。「日常生活で疲れやすさを感じる」、「なんとなく食欲が出ない」、「眠りが浅い」など、体調が崩れてきたと感じるサインは人によって様々ですが、こうした状態で健康診断を受けたのに検査数値には特に異常は認められなかった──。そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。
「未病」とは、健康と病気の間で連続的に変化する状態(下の図参照)のこと。漢方医学の概念としては、「未だ病にならざる状態」つまり、「発病には至っていないものの、健康な状態から離れつつある状態」という捉え方もあります。
(出典:神奈川県)
神奈川県は黒岩祐治知事の方針のもと、「心身の状態は、健康と病気で明確に区別できるものではなく、健康と病気の間を連続的に変化するものであり、未病はこの全ての変化の過程を表す概念である」ことを明確化しました。日本政府もこれを受け、「健康・医療戦略」において、健康・医療・介護のデータ整備などデータヘルス改革を進める上では、健康と病気を連続的に捉える「未病」の考え方やその取組を進めるための指標※1の構築等が重要になると指摘しています。
※1:「未病指標」は神奈川県が運営する無償のスマートフォン用アプリ「マイME-BYOカルテ」で測定できます。
自分の健康に置き換えて考えてみたら、どうでしょうか。もしも、深刻な病気に罹患してしまったら治療そのものが難しくなったり、元の健康な状態に戻るのに時間がかかったりする場合もあるでしょう。人生100年時代、多少の不調はあったとしても、深刻な病気になる前に、自分は今、健康と病気の間のグラデーションのどこにいるのかをしっかり“見える化”すること、そして、病気になる前の「未病」の段階で心身の不調を整え、病気を防ぐ「未病改善」の考え方がますます注目されそうです。
監修:成松宏人 文:一般社団法人ハイジアコミュニケーション 参考:神奈川県HP